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会計ソフトの導入時期はいつが最適?導入の流れや注意点も解説

多くの企業が会計業務の負担軽減を目的に、会計ソフトを導入しています。会計ソフトを使うことで、取引データの集計や仕訳を自動化でき、作業時間の短縮やミスの防止が可能です。

しかし、新たな会計ソフトの導入は、業務プロセスの変化を伴うため、多少なりとも現場に負担がかかります。そのため、現場への影響が少なく、導入のメリットが大きいタイミングで導入することをおすすめします。

この記事では、無理なく会計ソフトを導入できる最適なタイミングについて解説します。

会計ソフトの導入時期としておすすめのタイミング

会計ソフトは基本的にいつでも導入可能ですが、現場の負担が少ない時期を選ぶことが理想的です。ここでは、会計ソフトの新規導入や乗り換えに最適なタイミングを5つご紹介します。

決算直後

決算直後は新しい会計年度がスタートするため、このタイミングで会計ソフトを導入することには大きな利点があります。

まず、前年度までのデータが確定しているため、導入後に過去のデータを整理する手間が省け、スムーズに作業を進められます。また、新年度のスタートに合わせてソフトを導入することで、年度途中でのデータ修正や管理の煩雑さが減り、現場の負担を軽減できます。

さらに、年度明けに新しい顧問税理士と契約する場合、その税理士が使用している会計ソフトに乗り換えることで、税理士との連携がより効率的になります。同じソフトを使用することで、データのやり取りがシームレスになり、操作に関する疑問やトラブルが発生しても、顧問税理士から迅速にサポートを受けられるため、業務が滞るリスクを減らせます。

決算期については「決算期とは?決め方、変更方法、必要な業務まで【基本を解説】」で詳しく解説しています。

新規事業を開始するタイミング

新規事業を開始する際には、その事業に適した会計ソフトを導入することが効果的です。特に、飲食業など業種に応じた機能を持つ会計ソフトを選ぶことで、一般的なソフトよりも現場に合った使い方ができ、経理業務の効率化が期待できます。

また、新規事業では会計の仕組みを一から構築するため、このタイミングで適切な会計ソフトを導入することで、初期段階から無駄のない業務体制を整えられます。これにより、事業の運営がスムーズになり、成長を後押しする基盤が築けるでしょう。

関連する法の改定時

税制や会計に関する法改正に既存の会計ソフトが対応できない場合、買い替えを検討することも一手です。手動で法改正に基づく修正を行うのは手間がかかるうえ、ミスが発生するリスクもあります。そのため、法改正に対応した会計ソフトを導入する方が、長期的には効率的で経済的といえます。

特に、クラウド型の会計ソフトは多くの場合、法改正に自動で対応してくれる機能が備わっています。法改正をきっかけに、オンプレミス型からクラウド型への移行を検討するのも一つの有効な選択肢です。クラウド型に切り替えることで、常に最新の法改正に対応し、業務を円滑に進めることができます。

なお、クラウド型会計ソフトのメリットについては、「【クラウド型】会計ソフトのおすすめはどれ?操作性とコスパ、2観点から紹介」を参照ください。

経営環境が変化するタイミング

経営環境の変化に伴い、会計ソフトに求められる機能や対応人数も変わるため、このタイミングで新しい会計ソフトの導入を検討することも考えられます。

例えば、新しい部署の立ち上げや法人化に伴い、会計を担当するメンバーが増えたり、より高度な機能が必要になったりする場合があります。既存の会計ソフトでこれらの変化に対応できないのであれば、より多機能なソフトへの乗り換えが必要です。高機能なソフトは、複雑な経理処理や複数メンバーでの利用に対応できるため、業務効率を大幅に向上させることができます。

仮に、事業規模が縮小した場合は、既存のソフトでは機能が過剰になる場合も考えられます。その際は、必要最低限の機能に絞ったより安価な会計ソフトに切り替えることでコストを削減できるでしょう。

経営の状況に応じて最適なソフトを選び、無駄のない会計業務体制を整えることが重要です。

既存会計ソフトのサポート終了時

会計ソフトのサポートが終了すると、法改正への対応やバグ修正が行われなくなり、業務に支障が出るリスクが高まります。このため、サポート終了が決まった時点で、早めに新しい会計ソフトへの切り替えを検討することが重要です。特に、これまでのソフトで不便を感じていた点がある場合、それを解決できる新しいソフトを導入することで、業務の効率がさらに向上します。

サポート終了前に新しいソフトへ移行することで、ソフトの切り替えに伴うトラブルや業務への影響を最小限に抑えられます。例えば、データの移行や操作の習熟に時間を確保できるため、業務の停滞やミスの発生を防ぐことが可能です。

会計ソフトを無理なく導入するための3ステップ

ここでは、新しい会計ソフトを自社に導入したい方に向けて、無理なく進められる3つのステップを解説します。導入後に設定ミスやデータ入力の間違いが発生しないよう、この3ステップをしっかりと守って進めることが重要です。手戻りを防ぎ、スムーズに会計ソフトを導入しましょう。

必要な情報を整理する

新しい会計ソフトに乗り換える前に、まずは必要な情報を整理しておくことが重要です。特に、正確な会計データを引き継ぐためには、現在使用している会計ソフトからのデータが欠かせません。

例えば、以下の情報が乗り換え時に必要になります。

▼会計ソフトの乗り換えで必要となる情報の例

・仕訳データ
・取引先データ
・勘定科目データ
・仕訳伝票データ
・担当部署データ
・開始残高データ

新しい会計ソフトが、既存会計ソフトから自動でデータを取得できれば問題ありませんが、場合によっては会計ソフトの仕様やトラブルでデータを手動入力する必要が生じるかもしれません。

ソフトの仕様や予期せぬトラブルを考慮し、あらかじめ残高試算表や賃借対照表を準備しておくと、データ移行時のミスや漏れを防ぐことができます。こうした事前の準備は、移行プロセスをスムーズに進めるために非常に重要です。

データのバックアップをとる

データを移行する際にトラブルが発生し、データが消えてしまうこともあります。万が一会計データがなくなると、正確な帳簿を作成できなくなり納税にも支障が出るおそれがあります。企業を守るためにも、必要なデータは事前にバックアップを取っておくことが不可欠です。

このとき大切なのは、データの保存場所やデータを削除する基準、過去のデータをどう扱うかを事前に決めておくことです。会計ソフトのデータ保存容量には限界があるため、あらゆる過去のデータを永遠に保存することができないからです。

法人税法によると7年間は領収証を保管する必要があると記載されているため、最低7年はデータを保存する体制を整えましょう。

新しい会計ソフトにデータを入力する

いよいよ、上記で抽出した会計データを新しい会計ソフトに入力します。ソフト同士の互換性があれば、データ入力を一括で実施できます。

既存会計ソフトからのインポートができない場合は、一つ一つのデータを手入力します。ダブルチェックを挟むなど、データ入力はミスなく確実に行いましょう。

会計ソフトの導入時に注意すべきポイント

現在、多くのベンダーが会計ソフトをリリースしています。自社に最適なソフトを選ぶと会計業務の効率化を一層実現できます。

ここでは、会計ソフトの導入時に注意すべきポイントを3つ解説します。会計ソフトの選び方については「会計ソフトを比較するポイントは?自社に最適なソフト選びのコツ【おすすめ7製品も紹介】」も参照ください。

導入のしやすさ

会計ソフトの導入には一定の手間がかかりますが、その手間が少ないほど従業員の負担も軽減されます。特に、既存の会計ソフトとの互換性が高いソフトを選ぶと、データの移行や設定がスムーズに進み、入力作業の負担が減ります。これにより、導入プロセス全体を効率化し、現場の負担を最小限に抑えることができるでしょう。

さらに、乗り換えに必要な準備が少なく、操作がシンプルな会計ソフトを選ぶことで、移行作業を担当する従業員の作業負担も大幅に軽減されます。結果として、導入時のトラブルを回避し、業務が滞るリスクを減らすことが可能です。

導入する目的

「より多くのメンバーで使いたい」「法改定に対応したい」など、新たな会計ソフトを導入する目的は多岐に渡ります。

例えば、複数の拠点や部門がある企業では、各拠点の会計データを一元管理したいというニーズがあるかもしれません。そうした場合、クラウド型の会計ソフトを導入することで、どの拠点からでもリアルタイムでデータを共有・管理でき、業務の透明性が高まります。これにより、各拠点で発生する経理業務の一貫性が保たれ、全体の業務効率が向上します。

ただ安価な会計ソフトを選ぶのではなく、「どのような課題を解決したいのか」、導入目的を満たすことのできる最適な会計ソフトを選択することが大切です。

サポート体制

新しい会計ソフトを導入する際には、ソフトのサポート体制が充実しているかどうかにも目を向けることが重要です。導入時や運用中に、画面がフリーズするなどのトラブルが発生した場合、迅速に解決できなければ、業務が止まってしまうリスクがあります。

しかし、サポート体制が充実していれば、発生した問題をすぐに解決し、スムーズに業務を再開できます。サポートを確認する際には、メールやチャットといった連絡手段、対応時間が柔軟であるかといった点をしっかりチェックする必要があります。さらに、会計業務に不安がある場合は、ソフトの操作だけでなく、会計業務そのものをサポートしてくれるサービスが付いているソフトを選ぶと、より安心して利用できます。

おすすめの会計ソフト3選

最後に、おすすめの会計ソフトとして日本国内で人気の会計ソフトを3つ紹介します。導入のしやすさ・メリット・サポート体制についても解説していますので、参考にしてみてください。

ここで紹介する3つ以外にも、会計ソフトにはさまざまな種類があります。他の会計ソフトも知りたい方は、「会計ソフト、どれを選ぶべき?企業規模別におすすめソフトを紹介【全10種類】」もご覧ください。

会計ソフト名クラウド・オンプレミス無料トライアル期間
マネーフォワードクラウド会計クラウドのみ1ヶ月間
弥生会計クラウド版とオンプレミス版両方あり1年間(クラウド版)
freee会計クラウドのみ30日間

マネーフォワードクラウド会計

▼こんな方におすすめ

複式簿記の知識を有する方複数の銀行・クレジットカードと連携させたい方複数部門の会計業務をまとめて行いたい方

マネーフォワードクラウド会計は、株式会社マネーフォワードが提供している会計ソフトです。Windows及びMacOS両方で利用できます。

データインポートも容易なので、エクセルや他会計ソフトからの移行もしやすいことが特徴です。また、複式簿記対応なので会計や簿記など士業向けにも対応できます。

操作の面では、入力・仕訳を自動化できることや無料で自動アップデートしてくれることが強みです。特に、他のマネーフォワードシリーズを導入済みであれば、ツール同士を連携しやすいので一層の業務効率化を実現できるでしょう。

料金体系は、「基本料金」・「従量課金」・「オプション料金」の料金種別で、1ヶ月無料トライアルを活用できます。チャットやメールでサポートも行っていますので、導入・操作時にわからないことがあれば、気軽に相談してみましょう。

より詳しくマネーフォワードクラウド会計について知りたい方は、「マネーフォワードクラウド会計の実際の評判は?特徴も簡単に説明!」も参照ください。

▼料金表(税抜)

対象者プラン年額プラン月額プラン摘要
個人向けパーソナルミニ10,800円/年1,280円/月副業実施者を想定
パーソナル15,360円/年1,680円/月自営業、個人事業主を想定
パーソナルプラス35,760円/年電話サポート希望者
小規模〜中小企業向け※スモールビジネスプラン35,760円/年3,980円/月利用者目安:3名以下
ビジネスプラン59,760円/年5,980円/月利用者目安:4名以上
IPO準備・中堅〜上場企業向け無料見積もりにより決定

※オプションをつける場合は別途料金が必要

※24年10月時点の情報です。最新情報は公式サイトもご確認ください。

弥生会計

▼こんな方におすすめ

ソフトの操作方法だけでなく会計業務のサポートも受けたい方会計業務に自信がない方会社創業期の方

弥生会計は弥生株式会社が提供している会計ソフトで、オンプレミスとクラウド両方で利用できるのが特徴です。

弥生会計は必要な機能に絞っているため、最小限の機能だけ使いたいユーザーには特におすすめです。簿記の知識がなくとも操作しやすく、会計ソフトの操作に不安があっても無理なく導入・活用できるでしょう。

支払いの面を解説すると、クラウドであれば口座振り込みやクレジットカードで利用可能で、オンプレミスは買い切りです。オンプレミスでは、サポート体制の充実度も特筆するものがあり、PC故障に伴うデータバックアップなどの「あんしん保守サポート」を1年間無料で受けられます。

さらに弥生会計について知りたい方は、「弥生会計の評判は?特徴や導入に向いている人も紹介」もご覧ください。

▼料金表(税抜) ※クラウド版

製品名プラン料金人数追加料金摘要
弥生会計オンライン製品+セルフプラン27,800円/年2,300円/月・人最低限のサポートでよい方向け
製品+ベーシックプラン37,600円/年3,100円/月・人手厚いサポートを受けたい方向け

※オプションをつける場合は別途料金が必要

※3人以下は人数追加料金無料

※24年10月時点の情報です。最新情報は公式サイトもご確認ください。

freee会計

▼こんな方におすすめ

複式簿記に自信のない方柔軟にカスタマイズして使いたい方モバイル端末からもデータを閲覧したい方

freee会計はfreee株式会社が提供しているクラウド型の会計ソフトです。Macにも対応しています。

画面共有サポートなどサポート体制が充実しており、会計ソフトの導入・活用に自信がない場合でも安心です。操作性も高く、経理業務経験が少ない人や起業したての法人、さらにはオフィス外で働くことが多い従業員が会計ソフトを扱う際におすすめです。

支払い方法は、クレジットカードもしくはペイパル(PayPal)で支払い可能で、月払いか年払いを選べます。法人では、「ミニマム」・「ベーシック」・「プロフェッショナル」・「エンタープライズ」の4プランを選べるため、自社の規模に応じ最適なプランを選択しましょう。

さらに詳しくfreee会計について知りたい方は、「freee会計の評判は?会計ソフトの比較に役立つ機能や料金を詳しく紹介!」が参考になります。

▼料金表(税抜)

対象者プラン年額プラン月額プラン摘要
個人向けスターター11,760円 / 年1,480円 / 月確定申告初心者向け
スタンダード23,760円 / 年2,680円 / 月確定申告業務の効率化を目指す方向け
プレミアム39,800円 / 年税務調査等サポート希望者
小規模法人向けスターター65,760円 / 年 + 従量課金7,280円 / 月 + 従量課金必要最低限の機能とサポートで十分な方
スタンダード107,760円 / 年 + 従量課金経絵状況分析まで行いたい方向け
ひとり法人35,760円 / 年一人法人向け

中小企業〜大手企業※
スタンダード107,760円/年11,980円/月メンバー3名まで追加料金なし
アドバンス477,360円/年51,980円/月メンバー5名まで追加料金なし
エンタープライズ要相談

※スタンダードコースでは、経理/ 経営者相当1名追加ごと年払いで300円/月(月払いで400円/月)追加

※アドバンスコースでは、経理/ 経営者相当1名追加ごと年払いで1,000円/月(月払いで1,300円/月)追加

※24年10月時点の情報です。最新情報は公式サイトもご確認ください。

まとめ|会計ソフトの導入時期は、区切りがよいタイミングがおすすめ

会計ソフトは、会計データが出揃っている決算直後や法律への対応が必要なタイミングなど、区切りのいいタイミングがおすすめの導入時期です。会計ソフトを導入する手間が少ない、もしくは会計業務に大きなメリットをもたらすタイミングです。

会計ソフトを導入する際には、導入のしやすさやサポート体制に加え、会計ソフトを導入する目的に合致しているか確認する必要があります。

なお、本サイトでご紹介している会計ソフトは、アフィリエイト広告の出稿を受けています。

よくある質問

Q1.会計ソフトの導入時期におすすめなのはどのタイミングですか?
会計ソフトの導入時期におすすめなのは、業務の区切りがいいタイミングです。
具体的には、例えば以下のタイミングが考えられます。

・決算直後
・新規事業を開始するタイミング
・関連する法の改定時
・経営環境が変化するタイミング
・既存会計ソフトのサポート終了時
Q2.会計ソフトを導入する際には、導入時期以外にどのようなポイントに注意すべきですか?
会計ソフト導入時は、導入時期以外にも注意したいポイントがあります。まず、自社の業務ニーズに合った機能を選ぶことが大切です。サポート体制が充実しているかどうかも確認し、トラブル時に迅速に対応できるかをチェックします。
また、クラウド型かオンプレミス型か、自社の運用スタイルに合ったソフトを選択することも重要です。将来的な拡張性やコストパフォーマンスも含めて、長期的に適切なソフトを導入しましょう。