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減損会計とは?対象となる3種類の固定資産や会計処理方法をわかりやすく解説

固定資産の価値が低下している場合、減損会計を行うことで実態に即した財務状況を表せます。対象となる固定資産は3種類で、これらの固定資産についてグルーピングから減額損失の算定まで、抜け漏れなく会計処理フローを進めることが必要です。
また、減損会計に対応している会計ソフトの活用すれば、会計処理業務全般の効率化が期待できます。

そこで本記事では、減損会計の意味やメリット・デメリットを解説。減損会計に対応できるおすすめの会計ソフトも3つ紹介しているため、減損会計の処理フローを確実に効率よく進めたい方は参考にしてみてください。

減損会計とは固定資産の帳簿価額を実態に合わせて減額処理する会計処理方法

減損会計とは、企業が保有する固定資産の価値が、帳簿上の価額より大幅に低下した場合に、その価値を減らして処理を行う会計手法です。

減損会計をすることで、企業の資産価値を実態に合わせて正確に評価し、財務諸表に反映できます。

通常固定資産は年々価値が減少するため、減少分を減価償却として毎年計上することが必要ですが、大きな収益性低下時には帳簿価額が回収不能になるため、減損処理が必要です。

減損会計は、2006年3月期決算から適用が義務づけられており、国際的な会計基準と整合性を取ることと、固定資産の含み損を処理するために役割を果たしています。

減損会計の対象となる3種類の固定資産とは

減損会計は、企業会計審議会の「固定資産の減損に係る会計基準」で会計処理の方法が定められています。
そして上記の会計基準で減損会計の対象に定められている固定資産は3種類です。
減損会計を行うには実情に沿った資産のグルーピングが必要で、そのために固定資産の種類分けをします。減損会計の対象となる固定資産の種類を3つの詳細をみていきましょう。

有形固定資産

有形固定資産とは、土地・建物・機械装置など形ある資産です。これらの資産は、通常減価償却で徐々に価値を減らしていきます。

▼有形固定資産の例

・土地
・建物
・車両
・機械装置
・工具器具
・建物
・仮勘定(建築途中の資産)
・リース資産

例えば、企業が新たな事業投資として機械などを導入したものの、思うように事業を展開できず収益を上げられない場合は、減価償却よりも早く資産価値が低下します。そのとき減損会計なら、実情に合った有形固定資産の価値を算定することが可能です。

無形固定資産

無形固定資産は、特許やソフトウェアなど物理的な形を持たない資産です。これらの資産についても、有形固定資産と同様に減価償却が行われます。
▼無形固定資産の例

・特許
・商標
・営業権
・ブランド価値
・ソフトウェア
・のれん(M&Aに伴う資産負債の純資産と買収価格との差額)
・借地権

上記のような無形固定資産でも、思うように事業展開が進まず収益を確保できない場合は、減価償却よりも早く資産価値が低下するため、減損会計を行うケースがあります。

投資・その他の資産

投資・その他の資産は、株式や出資金など有形・無形固定資産いずれにも該当しない資産です。投資・その他の資産においても、減損会計の対象となるケースがあります。

▼投資その他の資産の例

・長期貸付金
・投資用不動産
・関連会社への出資
・株式
・保険積立金

例えば、購入済みの株式で大きく価値が下落した場合は、回復見込みがなければ減損会計を行うケースがあります。
ただ、下記のように他の会計基準で資産について規定されている場合は、減損会計の対象外となる点には注意しなければなりません。

▼減損会計の対象外となる資産(一例)

・研究開発費等に基づき固定資産として計上される市場で販売目的のソフトウェア
・金融商品の投資有価証券
・税効果会計による繰延税金資産
・退職給付による前払年金費用

減損会計のメリットとデメリットとは

減損会計は、企業が保有する固定資産の価値を現状に即して評価し、財務諸表に正確に反映するための重要な仕組みです。
しかし、現存会計には、財務状況の透明性向上といったメリットがある一方で、実務負担の増加や損失計上による収益への影響といったデメリットも存在します。

そこで減損会計の特徴を踏まえながら、具体的なメリットとデメリットを詳しく解説します。

メリット

減損会計を行うことで当年度は損失が多くなりますが、次年度以降の減価償却費も少なくなり、次年度には自己資本利益率(ROE)や総資本事業利益率(ROA)が高まる点がメリットです。
上記の2つが高まることにより、利益が出やすい企業体質に変化したり、大概的な信用が高まったりします。

また、財務諸表が現実的なものへと調節されるため、正確に財務状態や企業の現状を把握できるのも利点です。

デメリット

減損会計のデメリットは、減損会計処理を行った年度の業績が悪化してみえる点です。
減損損失が大きいほど、利益が減少するため財務状況が悪化してみえるため。世間からの評価や株式価値、さらには金融機関や株主からの評価にも影響を与えかねません。

多くの企業や投資家から資金調達している場合は、株主やスポンサー企業に対して、減損会計の理由や敬意などを説明できるよう準備しましょう。

減損会計の会計処理フローとは

減損会計では、通常の会計業務とは異なる会計処理フローを行います。ここでは、減損会計の会計処理フローを4ステップに分けて解説します。
参照:企業会計基準委員会の「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針

資産をグルーピングする

減損会計では、資産が投資額に見合った金額を回収しているかを図るため、各資産を適切な単位にグループ化します。
多くの場合、固定資産のみで事業を行ったり、収益を産み出したりしているわけではありません。
そのため、キャッシュ・フローを生み出す最小の単位でグルーピングを行います。例えば店舗ビジネスであれば、店舗全体でキャッシュ・フローを生み出しているため、テーブルやコンロなどの固定資産を1つの単位としてまとめることで、収益性を正確に判定しやすくなるのです。

減損損失の検討対象となる資産を特定しやすくすることが、グルーピングの目的といえます。

減損の兆候を判定する

資産のグループごとに、減損の兆候がないか判定します。なお、減損の兆候とは事業を行う固定資産、固定資産グループに減損が生じている可能性を示す事象です。
▼減損の兆候

1過去2期以上事業のキャッシュフローがマイナスで、今後も改善の見込みがないケース
2事業停止や稼働率の急減など、資産の使い方が変わってその価値が大幅に減少したケース
3市場環境や法律環境などの悪化で、資産や資産グループが用いられている事業で経営環境が著しく悪化したケース
4資産や資産グループの市場価格が、簿価から50%程度以上下落したケース

減損を測定する

<h3>減損を測定する

減損の兆候が見られた資産グループや減損会計を適用する固定資産に対して、資産が生み出す収益(割引前将来キャッシュフロー)と現在の帳簿価額を比較します。見積り期間は、20年か経済的耐用年数の短い方を採用するのが一般的です。

もし将来的なキャッシュ・フロー総額(割引前)を帳簿価格が下回る場合であれば、資産の価値が帳簿に記載されている金額よりも低下していることになり、減損損失の計上が必要です。

その場合、下記の計算式に則り減損損失額を計上します。

▼減損損失額の計算式

減損損失=帳簿価額-回収可能価額 

※回収可能価額:使用価値と正味売却価額の高い方

減損損失では、借方が「減損損失」、貸方が「固定資産勘定科目」として仕訳を実施します。その際には、税務上は原則として損金計上できないことに注意が必要です。

減損会計にも対応しているおすすめ会計ソフト3選とは

減損会計は、通常の会計処理よりも手順が複雑なので、減損会計に対応している会計ソフトの活用がおすすめです。

そこで減損会計対応の会計ソフトの中から、特におすすめの会計ソフトを3つ紹介します。なお各ソフトの利用料金は、2024年11月現在の金額を記載しています。

また、他の会計ソフトについても知りたい方は、「会計ソフト、どれを選ぶべき?企業規模別におすすめソフトを紹介【全10種類】」をご覧ください。

マネーフォワードクラウド会計

Screenshot

マネーフォワードクラウド会計」は、株式会社マネーフォワードが提供する会計ソフトです。WindowsやmacOSに加え、AndroidやiOSでも利用可能であるため、場所を問わず会計処理業務に活用できます。

幅広いツールやサービスとの連携が可能なうえに、エクセルや他の会計ソフトからデータをとりこめるため、他会計ソフトからの移行が容易なので、手順が複雑な減損会計にも最適です。

▼マネーフォワードクラウド会計と連携できるツール・サービス

・銀行
・クレジットカード
・電子マネー
・POSレジ
・勤怠管理ツール
・人事労務手続きツール

また、決算書や売上レポートの自動作成による会計業務の効率化や、法令改正や税率変更の自動アップデート機能まで備わっています。

ちなみにセキュリティ体制は金融機関なみに強固なので、セキュリティを重視する企業には特におすすめの会計ソフトです。

▼料金表(税抜) ※個人向けプラン除く

対象者プラン年額プラン月額プラン摘要
小規模〜中小企業向け※スモールビジネスプラン35,760円/年3,980円/月利用者目安:3名以下
ビジネスプラン59,760円/年5,980円/月利用者目安:4名以上
IPO準備・中堅〜上場企業向け無料見積もりにより決定

※オプションをつける場合は別途料金が必要
より詳しい情報を知りたい方はこちらの記事へ「マネーフォワードクラウド会計の実際の評判は?特徴も簡単に説明!

弥生会計

弥生会計」は、弥生株式会社提供の会計ソフトです。オンプレミスとクラウド両方のサービスを提供しており、企業規模に応じて最適なプランを選択できます。必要な機能に絞ったシンプルな構成が特徴で、簿記の知識に自信がなくとも直感的な操作が可能です。

また、csvやテキストファイルでのデータ取り込みに対応しているため、他の会計ソフトからの移行も簡単にできます。

サポート体制にも強みがあり、電話やメールでの問い合わせに加え、「あんしん保守サポート」では仕訳や経理業務の進め方、さらにはPC故障に伴うバックアップまで相談できるため、減損会計の対応でつまずいたときや、ソフトそのものの使い方に困ったときでも、適切に作業を進められるのが特徴です。

会計ソフトの操作方法だけでなく、会計業務自体もサポートしてほしい企業におすすめの会計ソフトです。
計ソフトです。
▼料金表(税抜) ※クラウド版
プラン料金人数追加料金摘要
製品+セルフプラン27,800円/年2,300円/月・人最低限のサポートでよい方向け
製品+ベーシックプラン37,600円/年3,100円/月・人手厚いサポートを受けたい方向け

※オプションをつける場合は別途料金が必要

※3人以下は人数追加料金無料

より詳しい情報を知りたい方はこちらの記事へ「弥生会計の評判は?特徴や導入に向いている人も紹介

freee会計

freee会計」は、freee株式会社が提供するクラウド型会計ソフトです。簿記の知識がなくとも操作しやすいUIを採用しているため、複式簿記にまだ自信がないユーザーには特におすすめです。

ネットバンキングやクレジットカードと連携することで、取引情報を自動で取り込める上に、AIによる自動仕訳を使えます。これにより、会計処理の手間を省け、入力ミスも減らせます。

スマートフォンアプリも提供されており、外出先でもレシートや領収書を撮影するだけで経費として自動入力が可能です。また、24時間利用可能なチャットボット・有人チャット・電話・メール・画面共有などサポート面も充実しています。

プランは、企業規模に応じて最適なものを選択できて、支払いはクレジットカードとペイパル(いずれも月払いか年払い)を選択可能です。
▼料金表(税抜) ※個人向けプラン除く
対象者プラン年額プラン月額プラン摘要
小規模法人向けスターター65,760円 / 年 + 従量課金7,280円 / 月 + 従量課金必要最低限の機能とサポートで十分な方
スタンダード107,760円 / 年 + 従量課金経絵状況分析までしたい方向け
ひとり法人35,760円 / 年一人法人向け
中小企業〜大手企業※スタンダード107,760円/年11,980円/月メンバー3名まで追加料金なし
アドバンス477,360円/年51,980円/月メンバー5名まで追加料金なし
エンタープライズ要相談

※スタンダードコース:経理/ 経営者相当1名追加ごとに年払いで300円/月(月払いで400円/月)追加

※アドバンスコース:経理/ 経営者相当1名追加ごとに年払いで1,000円/月(月払いで1,300円/月)追加

まとめ|減損会計で企業の財務状況を正確に把握

減損会計を用いると、財務状況をより正確に反映できるため、実態に合わせた事業計画を練りやすくなります。一方で、企業価値が下がるリスクがあるため、株主やスポンサーへの説明が必要になるデメリットもあります。

本記事では減損会計のメリット、デメリットに加えて、減損会計の具体的な会計処理フローまで紹介しているので、一通り目を通していただくことで、減損会計が自社に適しているのかを判断したり、減損会計の詳細を把握したりすることが可能です。

また、減損損失額の測定など複雑な処理が求められる減損会計対応の会計ソフトまで解説しているので、会計業務を効率化をしたい企業は参考にしてみてください。

なお、本サイトで紹介している会計ソフトは、アフィリエイト広告の出稿を受けています。

よくある質問

Q1.減損会計の対象となる固定資産は?
減損会計の対象となるのは、3種類の固定資産です。資産のグルーピングを的確に行うためにも、固定資産の種類分けが欠かせません。
有形固定資産無形固定資産投資その他の資産
Q2.減損会計の会計処理フローは?
減損会計では、通常の会計処理フローとは異なる処理フローをとる必要があります。大きく分けて、そのフローは4ステップです。
資産をグルーピングする減損の兆候を判定する減損を行うか判断する減損損失額を測定する