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連結会計は難しい?メリットや基本的な流れ、おすすめの会計ソフトをわかりやすく解説

グループ企業や子会社の財務諸表をまとめて決算書類を作成する連結会計は、企業の複雑な財政状態をわかりやすく透明化するうえで重要です。連結会計のプロセスはやや複雑ですが、会計ソフトを導入することで効率化、および正確性の担保につながります。また、連結会計による経営状態の透明化は企業の株主に対する義務です。

この記事では、連結会計のメリットや標準的な流れ、おすすめの会計ソフトを解説します。

連結会計とは?実施のメリット

連結会計は、親会社と子会社を含む複数の関連企業の財務情報を統合して、グループ全体の財務状況を把握する手法です。

連結会計を活用することで、企業グループ全体の資産や負債・収益などを一元管理でき、経営の透明性が向上します。特に、子会社を複数持つ大規模な企業にとって連結会計は欠かせません。

以下の見出しでは、連結会計を企業で導入するメリットについて解説します。

経営や財政の状態が把握しやすくなる

企業が成長し、子会社の数が増加すると、グループ全体の財政状況をセクションごとに把握することが次第に難しくなります。このような大企業の問題を解決する手段が連結決算です。親会社と子会社の財務データをまとめて管理し、全体の財務状況を俯瞰的に把握できます。

連結会計により、グループ内の各子会社間の取引や内部取引が適切に行われるため、正確な経営状況を明示可能です。結果として、グループ全体の経営や財政の動向を一目で把握でき、適切な経営判断が下せます。連結会計は、複雑な企業構造を持つ企業グループにとって、財務管理の要となる手法です。

金融機関による融資のハードルが下がる

金融機関からの融資を受ける際には、企業の経営の透明性が重視されます。連結会計を導入することで、グループ全体の財務情報を一元化し、経営の健全度を明確に示すことが可能です。金融機関は企業グループ全体の財政状態を把握しやすくなり、信頼性が向上します。

グループ企業の経営が健全化する

大企業になると子会社やグループ企業の関係性が複雑化するため、セクションごとの経営状況の把握が困難です。

連結会計を導入することでグループ全体の財政状態を明確にし、赤字部門と黒字部門を特定できるため、経営の健全化につながります。

例えば、グループごとに財政状態を報告することで、正確な財務状況が把握でき、赤字部門の早期発見が可能です。必要な改善措置を迅速に講じることができ、経営のスリム化につながります。

株主への印象が良くなる

経営状態を株主に対してわかりやすく明示することは企業にとっての義務です。連結会計を導入することで、グループ全体の経営状況を正確に示し、株主に対して企業のビジョンや戦略をより明確に伝えられます。

ビジネスでは「会社は株主のもの」という考え方があります。会社に直接出資し、支える存在である株主に対し経営の透明性を明示することで信頼度の向上が可能です。また、株主を通して経営の健全性を示すことで、潜在的な株主へのアピールにもつながります。

連結会計で作成する書類

連結会計で作成する書類には以下の4つがあります。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書
  • 連結株主資本等変動計算書

ここでは、それぞれの決算書類の役割と作成の意味について解説します。

貸借対照表

貸借対照表は、企業の財政状態を把握するための財務書類です。具体的には、企業グループ全体の資産、負債および純資産の状況を示しています。

書類作成のメリットは、貸借対照表を作成することで、投資家や金融機関などに対して透明性のある財務情報を提供できる点です。

貸借対照表の作成では、親会社と子会社間の内部取引や相殺項目を調整した上で、統合された連結貸借対照表を作成します。

内部取引の相殺は、親会社から子会社への融資や子会社同士の取引などが対象です。

取引の二重計上が起こらぬよう、ダブルチェックを徹底することがポイントとして挙げられます。

損益計算書

損益計算書は、企業の収益と費用を集約し、最終的な損益を示す重要な財務書類です。

連結損益計算書は、親会社と子会社を含む企業グループ全体の経営成績を正確に把握するために使用されます。

企業グループ全体の収益構造を明確にし、株主や投資家に対して透明性を持った情報を提供できるのが大きなメリットです。連結損益計算書を使えば、両方の業績を反映し、グループ全体の正確な財政状況を把握できます。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は、企業グループ全体の現金の流入と流出を示す書類です。企業がどのように資金を得て、どのように使ったかを明確にします。そのため、投資家や金融機関などに対し、資金繰りの状況を透明に伝える手段と言えるでしょう。

書類作成のメリットは、企業グループ全体の資金状況を正確に把握し、将来的な資金計画を立てやすくなる点です。特に、企業が手元にどれだけの現金を保持しているか、または資金不足の可能性があるかがわかり、経営判断がしやすくなります。

例えば、特定の事業がどれだけのキャッシュを生み出しているのか、またどれだけの資金が必要なのかを明確に示すことが可能です。

連結株主資本等変動計算書

連結株主資本等変動計算書は、連結会計において企業グループ全体の株主資本の変動を明確にするための財務書類です。

書類の役割は、自己株式の取得や資本準備金の変動など、株主に関連する資本項目の変動状況を詳細に示すことです。連結財務諸表の一部として、企業グループ全体の資本構成やその変動の理由を透明に報告する役割を担っています。

連結会計の流れ

一般的な連結会計は以下のプロセスで行われます。

  1. 連結対象の子会社を決める
  2. 個別財務諸表の作成
  3. 個別財務諸表の合算
  4. 連結修正仕訳
  5. 連結財務諸表の作成

連結対象の子会社を決める

連結会計ではまず、どの企業を連結対象に含めるのか、親会社が連結範囲の子会社を確定します。通常、親会社が子会社の議決権の過半数を保有している場合や、子会社を実質的に管轄している場合などが連結対象となります。

個別財務諸表の作成

連結範囲を確定したら、次は個別財務諸表の作成です。各子会社は自社の個別財務諸表を作成し、そのデータを親会社へ提供します。

個別の財務諸表に含まれるのは、損益計算書と貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの基本的な財務書類です。個別財務諸表は、各企業の経営状況を反映するための基礎データとなり、その正確さが連結会計全体の品質に大きく影響します。

個別財務諸表の合算

親会社と子会社、およびグループ企業の関係を可視化したら、セクションごとの個別財務諸表を合算します。この段階で財務諸表のどこかに誤りがあれば連結後の決算書にも誤差が生じるため、こまめな検算が重要です。

さらに、子会社の資本のうち、親会社が所有していない部分については「少数株主持分」として別途計上されます。少数株主持分は、親会社が所有していない子会社の資本や利益を示すもので、連結会計において適切に反映する必要があります。

貸倒引当金の処理も重要な要素です。貸倒引当金は、将来の債権回収リスクに備えるために設定されるもので、連結会計においても各子会社の引当金が合算されます。グループ全体で発生する債権の不良リスクを反映するため、財務諸表における資産評価の一環として取り扱われます。

連結修正仕訳

連結会計において、親会社が子会社を支配する権利を獲得した「支配獲得日」には、連結修正仕訳が必須です。

初年度では、支配獲得日を基準に開始仕訳を行い、その後発生した新たな連結修正仕訳が追加処理されます。これにより、親会社と子会社間での取引や投資が適切に記録され、重複や誤った計上の防止が可能です。

2年目以降も同じプロセスが繰り返されます。支配獲得日に遡って再度開始仕訳を行い、その年度内で発生した新たな修正仕訳も処理します。このプロセスによって、毎年度の財務報告において一貫性が確保され、正確な連結財務諸表の作成が可能です。

また、連結修正仕訳には、「資本連結」と「成果連結」という2つの重要な手続きがあります。資本連結では、親会社が子会社に対して行った投資と、子会社の資本を相殺し、グループ全体の資本構造を適切に反映します。

一方、親会社と子会社間で発生した取引や未実現利益を調整するのが成果連結です。例えば、親会社が子会社に商品を販売し、その利益がまだ外部に実現していない場合、その利益は一時的に消去されます。初めて利益として認識されるのは、外部へ実際に売却された時点です。

以上のような仕訳を行うことで、グループ全体の財務状況を正確に反映し、信頼性の高い財務報告が可能となります。

連結財務諸表の作成

連結会計の最終ステップでは、グループ全体の財務状況を正確に把握するために、連結財務諸表を作成します。

複数の子会社を持つ親会社の場合、各企業の財務諸表をそのまま合算するわけではなく、適切な修正や調整が必要です。連結修正仕訳を通じて不整合を解消し、信頼性の高い情報を提供するための調整が行われます。

連結会計の注意点

企業が正確で効率的な連結会計を実施するためには、以下のポイントに注意が必要です。

  • 部署ごとのスムーズなデータ共有
  • 会計基準の明確化
  • 万全なセキュリティ対策

部署ごとのスムーズなデータ共有

財務諸表を正確に作成するためには、各部署や子会社のデータが完全で一貫していなければなりません。書類の紛失や不備が発生すると、正しい連結会計を行うことが難しくなります。

日頃から各部署間でデータを円滑に共有し、適切に管理しておくことで、連結会計の労力削減が可能です。

会計基準の明確化

会計基準とは、財務諸表を作成する際に従うべきルールであり、不統一だとグループ全体の正確な財務諸表の作成が困難です。各子会社が異なる基準で財務諸表を作成している場合、連結する際にズレが生じ、財務状況を正しく反映できないリスクがあります。

日本で会計基準として主に利用されているのは、日本会計基準(JGAAP)です。一方、海外では米国会計基準(US GAAP)や国際会計基準(IFRS)が適用されることがあります。さらに、一部の企業で採用されているのは、日本基準と国際基準を調整したJ-IFRSです。これらの基準が統一されていないと、連結処理時に誤解や計算ミスが発生しやすくなります。

そのため、連結会計では、各子会社が採用している会計基準を統一または明確にする仕組みが必要です。

万全なセキュリティ対策

財務諸表は機密性の高い情報を含むため、外部への漏洩や不正アクセスを防ぐことが重要です。特に近年では、クラウドベースの会計ソフトが普及しており、インターネットを介してデータを管理することが一般的です。そのため、サイバー攻撃やデータ流出のリスクが高まっており、よりいっそうのセキュリティ対策が求められます。

例えば、重要な財務情報が外部に漏れるリスクを最小限に抑えるには、以下のような方法が有効です。

・アクセス制限
・データ暗号化
・定期的なセキュリティチェック
・データバックアップ
・クラウド環境を利用する際のセキュリティポリシーの徹底

充分なセキュリティ対策を講じることで、連結会計における財務情報の機密性を保てます。

連結会計を効率化!おすすめの会計ソフト

連結会計を効率的に進めるためには、会計ソフトの導入が欠かせません。最近では、クラウド技術やAIを活用したソフトが増え、財務データの管理や分析を迅速かつ正確に行うことが可能になっています。

最後に、連結会計に最適な会計ソフトを紹介し、その活用による業務効率化について詳しく解説します。

マネーフォワード クラウド連結会計

マネーフォワードクラウド連結会計

マネーフォワード クラウドは、クラウド上で連結会計処理を簡素化し、スムーズなデータ管理や作業負担の軽減が可能です。従来の複雑な連結プロセスを自動化し、迅速かつ正確な財務情報を提供するための機能を備えています。

マネーフォワードクラウド連結会計の特徴・利用料金・主なメリット

特徴リアルタイムでのデータ更新グループ会社間の取引相殺の自動化複数の会計基準への対応操作性が高く簡単に利用できる
利用料金企業の規模や利用にする機能に応じたプランが設定されているクラウド型のため初期投資が少ない
主なメリット業務の効率化正確な財務データをリアルタイムで把握できる

DivaSystem LCA(株式会社ディーバ)

DivaSystem LCA

DivaSystem LCAはグループ会社全体の連結決算業務を支援するために連結仕訳、財務諸表の統合などを一元的に管理できます。多様な会計基準に対応しており、グローバルな企業でも安心して利用可能です。

DivaSystem LCAの特徴・利用料金・主なメリット

特徴子会社間の取引相殺、外貨換算、未実現利益の消去など、複雑な作業を自動化するカスタマイズ性が高く、各企業のニーズに応じた柔軟な設定が可能
利用料金企業の規模や導入する機能によって異なる多くの場合、導入支援やカスタマイズ費用が発生するため、初期コストは比較的高額になることがある
主なメリット業務の効率化正確性法令改正への迅速な対応

BTrex連結会計(株式会社ビジネストラスト)

BTrex連結会計

BTrex連結会計は、グループ会社間で発生する複雑な連結仕訳やデータ統合をサポートし、連結財務諸表の作成を簡素化します。特に、子会社間の取引相殺や連結損益計算書の自動作成などの機能が充実しており、業務の効率化が期待できます。

BTrex連結会計の特徴・利用料金・主なメリット

特徴手作業が必要だった連結仕訳や外貨換算、未実現利益の調整などの高度な自動化シンプルなユーザーインターフェースと柔軟なカスタマイズが可能最新のクラウド技術を採用しているため、セキュリティ対策も万全で、データの安全性が高い
利用料金企業の規模や導入する機能、子会社の数によって異なるクラウド型のサービスであるため、導入コストは比較的低く抑えられる導入支援やカスタマイズのオプションに応じて、追加費用が発生することがある
主なメリット業務の効率化場所を問わず業務が行える利便性

BizForecast FC(プライマル株式会社)

Bizforecast FC

BizForecast FCは、財務データの管理・統合を簡素化し、迅速な連結決算を可能にするソフトウェアです。複数の子会社の財務情報を統合し、連結決算書の作成を効率化するだけにはとどまりません。財務予測やシミュレーション機能も提供しているため、経営戦略にも貢献します。

BizForecast FCの特徴・利用料金・主なメリット

特徴連結仕訳や取引相殺、外貨換算といった煩雑な業務を自動化できる財務予測のシナリオ作成機能や、予算管理機能も備えている柔軟なカスタマイズが可能で、各企業の業務に合わせた設定が行える
利用料金導入する機能や企業の規模に応じて異なる一般的に、中堅から大企業向けのソリューションであるため、導入支援やカスタマイズが必要な場合は初期費用が高くなる可能性がある
主なメリット業務が大幅に効率化予測機能を活用することで、将来的な財務計画をリアルタイムでシミュレーションでき、迅速な経営判断が可能クラウドベースでの提供も可能で、どこからでもアクセス可能

iCAS(株式会社インプレス)

iCAS

iCASは、複雑な連結会計業務を自動化するために設計されたソフトウェアです。子会社間の取引や連結仕訳・外貨換算など、手作業で行うと時間と労力がかかる処理を迅速に行い、正確な財務データを生成します。

iCAS(株式会社インプレス)の特徴・利用料金・主なメリット

特徴リアルタイムでのデータ処理と、連結仕訳の自動化機能外貨建て取引の対応や異なる会計基準での処理が可能で、グローバルに展開する企業でも利用しやすい設計使いやすいインターフェースを備え、専門的な知識がなくても操作できる
利用料金企業の規模や導入する機能によって異なる一般的に中小企業向けには比較的低コストでの提供が可能初期投資が抑えられる一方で、必要な機能に応じて月額料金が発生する
主なメリット業務の効率化手作業の削減により、人的ミスを防ぎ、短時間で正確な財務報告が可能社内外どこからでもアクセスできるセキュリティ対策も強化されている

まとめ|透明性の高い連結会計で企業の経営を健全化

連結会計はグループ企業や子会社の財務諸表をまとめ、1つの決算書類として記録する方法です。連結会計を行うことで大規模な企業でもセクションごとの損益バランスを可視化できるため、経営状態の透明化につながります。連結会計によって財務状態をわかりやすく提示することは株主に対する説明責任です。

会計ソフトを活用することで、複雑な連結会計を効率化できます。連結会計を通して企業会計を透明化し、企業の信頼性を向上させましょう。

よくある質問

連結会計とは何ですか?
連結会計は、親会社と子会社を含む複数の関連企業の財務情報を統合して、グループ全体の財務状況を把握する手法です。
連結会計を効率化するためのソフトウェアはありますか?
はい、例えば「マネーフォワード クラウド連結会計」や「DivaSystem LCA」など、連結会計を効率的に処理できる専用ソフトがあります。