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会計ソフト、どれを選ぶべき?企業規模別におすすめソフトを紹介【全10種類】

会計業務は、日々の業務でどのように商品や金銭が動いているか記録することで、企業の資産管理を行うものです。自社のビジネス状況を把握することに加えて、確定申告など役所への手続きに必要な書類を作成するためにも、ビジネスでは欠かせない業務と言えます。

しかし会計業務は、商品開発や営業とは違い、直接的に利益を産み出す業務ではありません。そのため、会計業務への負担は増やしたくないと考えている方も多いことでしょう。そこで会計業務の負担を軽減したい方におすすめなのが、会計ソフトの活用です。

この記事では、会計ソフトの種類、選び方などを解説した上で、企業の規模別におすすめの会計ソフトを計10種類紹介します。

会計ソフトとは会計処理を記録して決算に必要な資料を作成してくれるソフト

会計ソフトとは、会計処理を記録し、決算に必要な帳簿書類を作成するソフトのことです。主な機能には、以下のものがあります。

▼会計ソフトの主な機能

財務情報の一元管理支店や関連企業など、複数社の財務状況を一元的かつリアルタイムに管理する。複数の会計データを、1つのシステムで一元管理する。
帳票・伝票入力決算書作成に必要なデータを、効率的に入力する。転記を自動で行うため、ミスや漏れを防止してくれる。
仕訳入力預金や現金・従業員への給与や売り上げなどの数字を入れれば、システムが自動で必要な形態に変換・入力してくれる。
集計管理入力データを、日次や月次などで集計する。
財務分析財務データを用いて、「予測B/S」や「予測P/L」などの財務分析を実施する。
予実管理企業の予算と実績を管理し、自社のビジネス状況を判断する。
税申告納税時に必要な書類を自動作成する。また、法改正があり次第、アップデートによって順次自動で対応する。

会計ソフトは3種類に大別

会計ソフトは、価格やコスト、データの保存先などの違いによって、クラウド型、インストール型、オンプレミス型の3種類に大別できます。それぞれの違いについて、表にまとめました。

▼クラウド型・インストール型・オンプレミス型の比較表

クラウド型インストール型オンプレミス型
価格1万円~30万円程度
/年
2~30万円程度
/1購入あたり※1
数十万~数千万程度
/年
初期設定コストなし必要必要
利用台数の制限※2※2※2
データの保存容量上限なしPCの容量サーバーの容量
モバイル対応※2※2※2
データの復元※2※2
バージョンアップ自動(課金なし)必要必要
OS対応全OSに対応対象のOSのみ対応対象のOSのみ対応
データ連携※2※2

※1:アップデート費用は別途必要

※2:使用するソフトにより大きく異なる

クラウド型

クラウド型は、インターネットを経由してクラウド上(サービスを提供する企業のサーバーや外部のサーバーなど)にデータを保存します。

データの保存から処理まで、すべてオンライン上で行われるため、インターネットにアクセスできる環境さえあればどこでも操作ができます。社内やクライアント間での速やかな情報共有も容易ですし、テレワークにて会計業務を行いたい場合にも向いています。

インストール型

インストール型では、利用するパソコンに会計ソフトをインストールし、主にローカル環境にデータを保存します。

デバイス内にソフトをインストールするため、インターネット環境が使えなくても利用できます。データが社外に流出するリスクを抑えたい場合におすすめできます。

オンプレミス型

オンプレミス型では、自社内にサーバーや回線を設置してシステムを構築し、社内のクライアント端末からサーバー上のデータベースに接続します。

サーバー設置やシステム構築など、他の型に比べると初期費用は大きくなりがちな一面もありますが、自社の業種や使いたい形にあわせてソフトをカスタマイズしやすいことが特徴です。既存社内システムとの連携を簡単に取りたい、できるだけ自社の理想の形の会計ソフトを導入したい場合にはおすすめです。

会計ソフトを導入することで得られる効果

先述した通り、会計ソフトは日々の会計処理を記録したり、決算に必要な帳簿書類の作成を自動化したりすることができます。そのため、経理業務にかかる時間と負担の両方が軽減され、多くの企業で業務効率化が叶うことでしょう。

しかし、会計ソフト導入で得られる効果は、業務効率化だけではありません。本章では、会計ソフト導入で企業が得られるメリットについて、3点解説します。

人的エラーの防止ができる

会計業務で紙やエクセルを用いていると、どうしても入力ミスや転記ミスなど、人的エラーが起こりやすいものです。また、ミスがあったとしてもすぐに気づきにくく、該当箇所を探すのも一苦労でしょう。

会計ソフトで会計業務を行えば、仕訳で入力した数値が関係する申告書に自動で反映されます。そのため、手計算の手間を省くことができるのです。さらに、仕訳で入力した数値が合わないと、アラートが通知される機能をもつ会計ソフトもあります。人の目だけでは見逃してしまうミスも、会計ソフトのチェックで防ぐことができるでしょう。

担当者が少なく、業務負担の多さからエラーが生じやすい環境となっているならば、会計ソフトの導入で解決される課題もあるはずです。

法改定があっても、速やかかつ正確に対応できる

経理業務は、「会社法」「金融商品取引法」「法人税法」など、複数の企業会計原則に従って行われる必要がありますが、これらの法令は毎年のように改定されます。法令を遵守しなければ罰則を与えられる場合もあるため、経理担当者は常にアンテナを張り、迅速かつ正確に対応しなければなりません。

多くの会計ソフトでは、最新の法令に対応するため、定期的にアップデートが行われます。会計ソフトをアップデートするだけで対応が完了するため、危うく対応しそびれた、といった事態を防げるほか、経理担当者の心理的負担も軽減できるでしょう。

財務状況を的確に把握できる

会計ソフトでは、仕訳を入力するだけで各種帳票が作成されます。さらに銀行口座やクレジットカードの取引データを元に、自動で帳簿を作成することも可能です。リアルタイムで取引内容を帳簿に反映できるため、いつでも最新の財務状況を把握できるでしょう。

さらに、入力データをもとに、損益や売上などのレポートを作成することも可能です。財務状況を分析することで、自社の経営判断に活用することも期待できるのです。素早い経営判断を行いたいとき、会計ソフトは大いに効果を発揮するでしょう。

会計ソフトを比較するポイント

世の中には多数の会計ソフトが存在しているため、「導入を検討したいが、どれが自社の課題感を解決できるソフトなのかわからない」「それぞれの違いを比べて検討したいけど、どんな視点で比較すればよいかわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、ソフト導入で解決したい課題や企業・業種によって、最適な会計ソフトは異なります。そのため、あらかじめ導入の目的や自社の状況を整理したうえで、比較していくことが重要です。

本章では、目的や自社状況の整理が済んだうえで、どのような視点で会計ソフトを比較するとよいか、ポイントを解説します。自社に最適な会計ソフト選びの指針としてください。

1.ソフトのユーザー層や機能、プランは適切か

会計ソフトによって、「個人事業主向け」「中小企業向け」など、ユーザーとして想定している層が異なります。また、「飲食店向け」「会計事務所向け」など、特定の業界に特化した会計ソフトも存在するほか、利用人数によって異なるプランを設定しているものもあるのです。

企業規模や業種によって、申告書や決算書など必要な書類が異なる場合も考えられます。もし自社と異なるものを導入してしまうと、必要な書類が作成できないなど困ったことになりかねません。また、想定利用人数もソフトによって異なるため、注意が必要なポイントです。

2.費用感は適切か

会計ソフトの費用も、比較ポイントとして外せません。会計ソフトによっては「永年無料」「最初の30日間は無料」など、費用感を抑えて導入できるものもありますし、有料でも手厚いサポートを用意しているものもあります。

▼費用感の比較視点

  • 初期費用はどの程度か?
  • 月の料金は?
  • 無料トライアルは使えるか?

3.サポート体制は充実しているか

会計ソフトに限らず、新しいシステムを導入する際には、不測の事態は起こりうるものです。ただ、不測の事態をなかなか解決できないでいると、その分業務に支障が出るかもしれません。

そのため、不測な事態を解決するためのサポート体制も、充実しているか確認しましょう。問い合わせに迅速に対応してくれるか、わかりやすく教えてくれるかが、サポート体制のポイントです。また、電話、チャット、メールなど、問い合わせ手段も確認しておくとよいでしょう。

4.UIの操作性はどうか

いくら機能が多くても、操作しづらければ十分使いこなせません。そのため、操作しやすいツールを活用することがおすすめです。

注意しなければならないことは、初心者には使いやすくても、簿記の知識があるとかえってわかりづらいUIの会計ソフトもあることです。無料トライアルや無料プランがあれば、実際に会計ソフトを使う予定がある従業員を複数呼び、会計ソフトを使ってもらってヒアリングしておくとよいでしょう。

5.動作環境は自社に対応しているか

会計ソフトは、自社で活用している端末で使えることが欠かせません。特に、インストール型であれば、Windows対応なのか、iOS対応なのか、事前に確認しておきましょう。

また、古くからあるパッケージソフトであれば、どの年代のOSに対応しているか確認する必要がありますし、外出先でも閲覧したい場合は、モバイル対応の会計ソフトがおすすめです。

6.他サービスとの連携ができるか

会計ソフトの中には、金融機関やクレジットカードと連携して、決済情報を自動集計できるものもあります。経費精算や勤怠管理などのツールと連携できると、一層業務効率化を実現できるでしょう。

他にも、エクセルや他サービスで蓄積されたデータを、そのままインポートして簡単に引き継ぎできる機能を有するツールもあります。これらの連携機能を使いこなせば、データの引き継ぎをより効率的に行えるため、業務効率化に役立つでしょう。

会計ソフトのおすすめ4選【中小企業向け】

中小企業の場合、経理担当者が限られることが多いため、操作が簡単な会計ソフトがおすすめです。仕訳だけではなく、固定資産税への対応なども考慮して選択するとよいでしょう。また、給与計算システムなど他ツールとの連携ができると、より業務効率化に有効です。なお、導入費用に不安を感じる場合は、条件によってIT導入補助金を使える可能性があるため、必要に応じて活用を検討してみてください。本記事では、4つの会計ソフトを紹介します。

▼中小企業向けのおすすめ会計ソフト一覧

ソフト名料金価格(税込)無料トライアル期間無料プランの有無
勘定奉行・月額 7,750円〜
・初期費用 0円〜
30日間なし
PCA224,400円 〜2ヶ月なし
財務会計システム月額21,780円〜
※ICSATOMII
60日間
※上手くんα
なし
フリーウェイ経理Lite0円〜なし
(無料プランあり)
あり

勘定奉行

勘定奉行

【概要】

勘定奉行は、株式会社オービックビジネスコンサルタントの会計ソフトです。導入実績累計69万社と、多数の導入実績を誇ります。

【特徴】

事業規模や機能に応じて複数プランが用意されている上に、シリーズ商品も複数存在するので、自社の状況に応じて最適なプランを選べます。また、ホームページ上には商品紹介動画やPDF資料も用意されているので、はじめての導入にも安心です。

PCA

PCA

【概要】

PCAは、ピー・シー・エー株式会社の会計ソフトです。中小企業様向けの会計ソフトで、PCA会計DXやその上位シリーズであるPCA会計hyperなどがあります。

【特徴】

自動仕訳に対応しているため、会計業務に自信がない方にも安心です。また、APIで他ツールとも連携できるので、すでに導入しているツールと連携可能であれば、より便利に使えるでしょう。

財務会計システム

【概要】

財務会計システムは、日本ICS株式会社の会計ソフトです。10,000件の導入実績を有するシステムです。

【特徴】

銀行の預金データやクレジットカードの明細書データを、CSVファイルで取り込むことで、自動で仕訳データを作成できます。また、宗教法人や学校法人など、非営利法人向けに特化したシリーズもあるため、該当する場合は検討してみてはいかがでしょうか。

フリーウェイ経理Lite

【概要】

フリーウェイ経理Liteは、株式会社フリーウェイジャパンの経理ソフトです。WindowsOSであれば、会計処理で重要かつ基本的な機能を、永年無料で使えます。

【特徴】

永年無料でありながら、仕訳や決算書作成など、会計業務の代表的な業務を網羅しています。そのため、まずは手軽に会計ソフトを取り入れてみたい方におすすめです。また、部門管理や操作サポートなど、より充実した機能を求める場合は、有料プランへの変更も可能です。

会計ソフトのおすすめ2選【大企業向け】

大企業の場合、予算に余裕があれば機能が豊富な会計ソフトが有効です。また、取引先が多岐にわたることから、部門や予算分けが容易な会計ソフトがおすすめです。以下に2つおすすめの会計ソフトを紹介します。

▼大企業向けのおすすめ会計ソフト一覧

ソフト名料金価格(税込)無料トライアル期間無料プランの有無
TKC FXクラウドシリーズ8,800円/月〜なしなし
JDL IBEX会計162,800円なしなし

TKC FXクラウドシリーズ

【概要】

TKC FXクラウドは、株式会社TKCのクラウド会計ソフトです。シリーズ累計30.5万社もの企業を、会計面からサポートしています。

【特徴】

変動損益計算書や取引先データベースにより、会計面から会社の現状を一目で把握できます。また、中小企業から大企業まで約60万社の法人税申告を処理・保管するなど、確かな実績と信頼を有するデータセンターを所有することも、安心材料の一つです。

JDL IBEX会計

【概要】

JDL IBEX会計は、株式会社日本デジタル研究所(JDL)のインストール型会計ソフトです。WindowsOSに対応しています。

【特徴】

データ入力、チェックから帳表作成まで、オペレータに合わせてシームレスにシステム展開が可能です。また、会計事務所と契約している場合は、ドラッグ&ドロップだけで顧問会計事務所に会計データを送付するシステムを活用すれば、会計事務所との連携がより容易になります。

会計ソフトのおすすめ4選【個人事業主向け】

個人事業主の場合、会計ソフトは確定申告や節税などに使うことが多いのではないでしょうか。また、経理に精通しているとは限らないため、初心者でも手軽に扱えるほか、低コストで導入できる会計ソフトをおすすめします。ちなみに、個人事業主の多くに利用されているのはクラウド型ソフトです。それでは、以下に4つおすすめの会計ソフトを紹介します。

▼個人事業主向けのおすすめ会計ソフト一覧

ソフト名料金価格(税込)無料トライアル期間無料プランの有無
freee1,480円/月〜
※月払い
30日間なし
マネーフォワードクラウド会計3,980円/月〜
※月額プラン
1ヶ月なし
やよいの青色申告 オンライン9,680円/年〜1年間なし
楽しいかもしれない青色申告0円〜なし
(完全無料)
あり
(完全無料)

freee

freee

【概要】

freeeは、freee株式会社のクラウド会計ソフトです。日本ではトップクラスに有名なクラウド会計ソフトで、個人事業主から中小企業、大企業まであらゆるユーザーにて導入実績があります。

【特徴】

Google、Microsoft、Appleどのアカウントでもログイン可能です。また、開業届や受発注管理など、さまざまなシリーズ商品があるため、それらと連携させるとより会計業務を効率化できるでしょう。無料プランはありませんが30日のトライアルが出来るので、一度使用感を確かめてみて検討できるのもおすすめです。

マネーフォワードクラウド会計

【概要】

マネーフォワードクラウド会計は、株式会社マネーフォワードのクラウド会計ソフトです。クラウド上で、仕訳など会計に必要な作業を容易に行えます。

【特徴】

ホームページ上で説明資料や製品紹介動画を公開しているので、直感的に製品の特徴をイメージしやすくなります。また、迷っている方は無料オンライン相談も活用できるので、不安な点を質問してから、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

やよいの青色申告 オンライン

【概要】

やよいの青色申告 オンラインは、弥生株式会社の会計ソフトです。弥生株式会社は、会計に関してさまざまな製品を提供していますが、本ソフトは青色申告に特化しています。

【特徴】

取引入力から確定申告まで、青色申告にまつわるあらゆる作業を、本ツール一つで完結できます。また、ホームページ上に青色申告に役立つコンテンツも多数用意されているため、安心です。

楽しいかもしれない青色申告

【概要】

楽しいかもしれない青色申告は、西田恭隆公認会計士中小企業診断士税理士事務所の会計ソフトです。エクセルと部分的にクラウドを使った会計ソフトで、操作もエクセル上で作業できるほか、完全無料で使えます。

【特徴】

e-Taxと併用することで、無料で青色申告に必要な書類を作成できます。また、操作方法などに自信がなければ有料サポートの活用も可能です。

まとめ|会計ソフトで会計業務を効率化!

会計ソフトとは、会計処理を記録し、決算に必要な帳簿書類を作成するもので、業務効率化や計算ミス防止などのメリットがあります。会計ソフトの種類は、クラウド(オンライン上で使用)、インストール(端末にインストール)、オンプレミス(自社内にサーバー・回線を設置)に大別されます。

会計ソフトは、実際の利用シーンや費用、サポート体制などを考慮して選びましょう。さまざまな会計ソフトがありますが、まずは今回紹介した10個の会計ソフトから比較することがおすすめです。

なお、本サイトでご紹介している一部の会計ソフトは、アフィリエイト広告の出稿を受けています。

よくある質問

Q1.会計ソフトの種類は?
「クラウド型」、「インストール型」、「オンプレミス型」の3種類に大別されます。

クラウド型は、インターネット経由でクラウド上にデータを保存するものです。また、インストール型では、利用するパソコンに会計ソフトをインストールすることでローカル環境にデータを保存します。さらにオンプレミス型は、自社内にサーバーや回線を設置することで、システムを構築して社内データベースに接続するものです。

詳しくは「会計ソフトは3種類に大別」の章をご覧ください。
Q2.会計ソフトの比較ポイントは?
会計ソフトを比較する際には、まず実際に使用が想定されるユーザーによって、必要な機能を有しているか確認しましょう。

また、費用なプラン、サポート体制などにも注意しなければなりません。無料トライアルや無料プランを使えるのであれば、それらを用いて使い勝手を試してみることも有効です。

詳しくは「会計ソフトを比較するポイント」の章をご覧ください。