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会計ソフトを比較するポイントは?自社に最適なソフト選びのコツ【おすすめ7製品も紹介】

経理業務の効率化を図りたいなら、会計ソフトの導入は有効な手段の一つです。会計ソフトの多くは電子帳簿保存法やインボイス制度などの法改正にも迅速かつ正確に対応するため、バックオフィスの負担を減らせるからです。とはいえ、会計ソフトは多くリリースされており、どれを選べばよいか迷う方も多いでしょう。

会計ソフトを比較・検討する際は、料金や操作性はもちろんのこと、導入によって自社のどんな課題を解決したいのか、目的を考慮して選ぶことも重要です。本記事では、会計ソフトを比較する時のポイントを解説します。また、「安さ重視」「プラン重視」の2観点から、おすすめの7製品を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

会計ソフトを導入する4つの理由

会計ソフトは種類や機能が豊富なため、導入することでさまざまなメリットを実感できます。会計ソフトを導入する理由は主に以下の4つです。

1.経理業務を効率化できる

経理業務においては、公正で妥当なルールに基づいて作業を行い、最新の法令や規制を遵守することが重要です。特に経理担当者は、会社法・金融商品取引法・法人税法など、法律に関する理解も必須でしょう。しかし法律関係は複雑な内容も多く、自力で理解して業務に反映させるのは難しい面もあります。

会計ソフトを導入すれば、定期的なアップデートや改定によって最新の法令や会計基準に対応してくれるため、煩雑な業務を削減可能です。法令で要求される書類作成に必要なフォーマットも提供しているため、経理業務の効率化が期待できます。

また、紙ベースでは、一つ一つの伝票の内容を各帳簿に転記する必要がありました。会計ソフトなら、仕訳入力さえすれば、関係する帳簿にそのままデータが転記されるため、入力の手間も大幅に削減できます。

2.リアルタイムでデータの可視化ができる

企業や組織の中には、Excelを使用して経理業務を行うケースがあります。しかし、Excelでは従業員情報や取引金額などのデータを手動入力するため、ミスの発生原因になります。エラーの検証にも時間がかかるでしょう。

特にExcelはリアルタイムで更新できないため、「出入金データをすぐに確認したい」「至急で請求書をチェックしたい」などのニーズに応えるのは難しいと考えられます。

会計ソフトを利用すると、金融機関やアプリとの連携が可能になります。連携によって各項目のデータを自動取得できるため、リアルタイムでのデータ確認が可能です。また、メンバー全員で同じデータをリアルタイム共有できるため、コミュニケーションもスムーズに行えます。

3.最新の法令にも対応できる

経理業務は公正で妥当なルールに従って行われる必要があります。例えば、経理業務においては以下の法律を知っておかなければなりません。

▼経理業務で知っておくべき法律

  • 会社法:損益計算書や賃借対照表などの作成について規定
  • 金融商品取引法:主に財務諸表に関する内容を規定
  • 法人税法:法人の所得に関する内容の規定
  • 電子帳簿保存法:データの保存方法に関する規定

特に、会計ソフトで作成した帳簿書類の電子保存に関わる「電子帳簿保存法」は、2022年に以下のように改正されました。

▼電子帳簿保存法の改正内容

  • 電子帳簿の保存要件が緩和される一定要件を満たして必要な届出を提出した際に過少申告加算税が軽減される帳簿を電磁的記録で保存する際に税務署長の事前認証が不要となる(参照:国税庁HP

多くの会計ソフトでは、上記の最新法令や会計基準に対応するため、定期的なアップデートが実施されています。

法令で定められた書類作成に必要なフォーマットを提供したり、法令遵守チェック機能を備えたりしている会計ソフトもあります。2023年10月から始まるインボイス制度にも対応可能です。法令の見落としを防いで正確な書類を作成するには、会計ソフトの導入が必須になります。

4.バックオフィスにかかる経費を見直せる

バックオフィス業務を手作業で行う場合、ひとりでの対応は困難です。社員の人数が増えるほど入力の手間も増えますし、ミスがないかをチェックする役割も必要になります。

会計ソフトの導入によって入力の手間を大幅に削減できるため、経理業務をひとり(あるいは少人数)で担当することも可能です。担当者を減らせれば年間の人件費も削減できますし、手の空いた人員を経理以外のコア業務に回すこともできるでしょう。

操作が簡単な会計ソフトやほぼすべての業務を自動化できるサービスであれば、より工数や経費を減らせます。

会計ソフトは3種類に分けられる

会計ソフトは「システムの管理方法の違い」によって、大きく3種類に分けられます。

クラウド型インストール型オンプレミス型
価格
初期設定コストなし必要必要
データの保存容量上限なしパソコンの容量サーバーの容量
データの復元可能場合による場合による
対応OSWindows/MacOS基本的にWindows基本的にWindows
バージョンアップデート自動で行われる必要必要
データの連携可能場合による場合による

それぞれのメリット・デメリット

価格面では、大規模なサーバーを設置しなくても利用できる「クラウド型」が比較的リーズナブルです。一方で、オンプレミス型では「自社に合わせてシステム設計がしやすい」という魅力もあります。

管理方法ごとでメリット・デメリットがあるため、比較・検討したうえで自社の状況にマッチする会計ソフトを選ぶことが重要です。

▼クラウド型、インストール型、オンプレミス型のメリットとデメリット


メリットデメリット
クラウド型
インターネットを経由してクラウド上にデータを保存する会計ソフト
  • 外部システムと連携できる
  • 端末に依存せず利用できる
  • インターネットを経由したデータの取得・共有が簡単にできる
  • データをリアルタイムで確認できる
  • 更新の手間がない
  • インターネット環境が必要になる
  • 毎月(あるいは毎年)コストがかかる
  • ログインIDやパスワードの適切な管理が必要になる
インストール型
利用するパソコンにインストールし、主にローカル環境にデータを保存するタイプの会計ソフト
  • オフラインでも利用できる
  • コストを抑えられる
  • ローカル環境に保存するため安心感がある
  • アップデートコストがかかる
  • 利用可能な端末数が限られる
オンプレミス型
自社内にサーバーや回線を設置してシステムを構築し、社内のクライアント端末からサーバー上のデータベースに接続するタイプの会計ソフト
  • 自社に合わせてシステム設計できる
  • 社内のネットワークを使うため安心感がある
  • アップデートコストがかかる
  • 導入にコストや工数がかかる開発・管理ができる人材が必要

自社に最適な会計ソフトはどれ?比較の視点を解説

会計ソフトを選ぶ際は、先述したソフトの型に加え、導入して解決したい課題や目的を考慮して比較する必要があります。自社の状況にマッチする会計ソフトを選べれば、法令変更へのスムーズな対応・経費削減・業務効率化を期待できるでしょう。

目的以外の面で、会計ソフトを比較する際のポイントは、主に以下です。

▼会計ソフトの比較ポイント

【コスト面を重視したい】
・無料プランか有料プランか・無料のおためし期間があるか
【機能を重視したい】
・所有の端末やOSには対応しているか・金融機関やアプリとの連携は十分か
【簡単に運用したい】
・無料のお試し期間があるかどうか・簿記の知識がなくても操作は簡単か
【その他】
・クラウド型かインストール型か
・個人事業主向けか法人企業向けか

自社のニーズに沿った会計ソフトを導入するためには、上記から複数項目を比較し、バランスの取れた製品を選ぶことが大切です。

【コスト面を重視したい】

コスト面を重視する場合は、プランごとの料金設定や最低契約期間の縛りなどを優先的に比較しましょう。ソフトによっては完全無料のものや、プランによって月額料金が安価に設定されているものもあります。

ただし、コスト面だけに目を向ければよいわけでもありません。例えば、最も低額なプラン同士で比較しても、「機能やサポート面で自社ニーズに合わない」などが起こり適切な会計ソフトを選択できない場合があります。

【機能を重視したい】

機能性を重視したい場合、まずは対応可能な業務や対応端末、対応OSを確認しましょう。会計ソフトによっては金融機関やアプリと自動連携できるため、簡単にデータを取得して経理業務を効率化できます。

ただし機能性を重視する場合も、機能数や連携数など「単純な数」での比較は避けましょう。単純な機能数が多くても、自社のニーズにマッチする機能が搭載されていなければ活用できず、費用がかさむだけとなってしまいます。

【簡単に運用したい】

ソフトによっては、無料お試し期間があるものもあります。管理画面のサンプルやデモなどをチェックして、「まずは手軽に導入して使い勝手をチェックする」ということも行えます。実際の使いやすさやデザインの見やすさを確認してから選択するとよいでしょう。

また、「簿記の知識がなくて不安」という場合は、運用の簡易性やサポートの有無をチェックすることもおすすめします。サポートにも、電話やチャット、メールなどそれぞれ違いがあるため、確認しておくことで安心して導入できるでしょう。

【安さ重視ならコレ!】おすすめの会計ソフト4選

具体的におすすめの会計ソフトをチェックしましょう。まずは「安さを重視したい」という方におすすめの会計ソフトを4つご紹介します。

なお、文中の価格については、特に表記がなければ「税込表示」です。

マネーフォワード クラウド会計
  • 初期費用0円で会計ソフト1つからでも導入できる
  • スモールビジネスプランは、年額プランの場合、2,980円/月で利用できる
弥生会計
  • 取引入力などの基本機能・帳簿やレポートの集計・決算書の作成や出力・スマートフォン取引入力・銀行口座やクレジットカードとの連携・領収証やレシートの自動仕訳、などの機能を無料で利用できる
  • 初年度0円で利用できる
  • 起業から2年を超える場合は1年間無料で利用できる
ジョブカン会計
  • 初期費用・サポート費用0円で利用できる
  • パッケージソフトの操作性をそのままに、クラウドサービスの便利さを実現している
  • スタートアッププランは2,500円/月で利用できる
  • 30日間の無料お試し期間がある
  • 設立3年未満の起業は1年間無料で利用できる
フリーウェイ経理Lite
  • Windowsのパソコンなら永久無料で使える
  • 決算書、試算表などの帳票も無料で出力できる
  • 仕訳形式、出納帳形式で入力できる

マネーフォワードクラウド会計

マネーフォワードクラウド会計

マネーフォワードクラウド会計は、初期費用0円で導入できる会計ソフトです。会計ソフトひとつから導入可能なため、小さい規模から始めて使い心地を試したい企業にマッチするでしょう。

最もリーズナブルな「スモールビジネスプラン」の場合、年額プランは35,760円/年(2,980円/月)・月額プランは3,980円で利用できます。

マネーフォワードクラウド会計は、リーズナブルさに加えて充実のサポート体制も魅力です。

引用:マネーフォワード クラウド会計公式サイト

導入前に動画で使い方をチェックできるだけでなく、運用中もメールやチャットによるスタッフのサポートがあるため、初めて会計ソフトを利用する企業でも安心です。

1ヶ月間の無料お試し期間もあるため、まずは自社にマッチするか手軽な感覚で導入するのもよいでしょう。

弥生会計オンライン

弥生会計オンライン

弥生会計オンラインは、無料で使える期間が「年単位」で設定されている会計ソフトです。起業から2年を超えた法人であれば、以下の豊富な機能を「1年間無料」で利用できます。

▼弥生会計で利用できる機能

  • 取引入力などの基本機能
  • 帳簿・レポートの集計
  • 決算書の作成・出力
  • スマートフォンで取引入力
  • 銀行口座やクレジットカードとの連携
  • 領収証やレシートの自動仕訳

引用:弥生会計オンライン公式サイト

2023年6月28日までは、「起業から2年以内の法人であれば2年間無料で使えるキャンペーン」も開催していました。通常価格は「セルフプラン26,000円/年(税抜)」「ベーシックプラン35,200円(税抜)/年」です。

また、上記の無料期間とは別途で、最大2ヶ月間は一部機能を無料で利用できる「無料体験プラン」もあります。期間は短いですが解約もしやすいため、「もっと手軽に導入してみたい」という方におすすめです。

ジョブカン会計

ジョブカン会計

ジョブカン会計は、初期費用やサポート費用無料で導入できる会計ソフトです。さらにジョブカン起業支援プロジェクトも展開しており、設立3年未満の法人は「ジョブカン会計を含めた全シリーズを1年間無料で利用」できます。

引用:ジョブカン起業支援プログラム公式サイト

通常価格も「スタートアッププラン2,500円/月(税抜)」と、2,000円代から利用できるためお得です。

クラウドソフトでありながらパッケージソフトと同じような操作性を実現しており、直感的なタブ付けやクリック操作だけで使えます。ジョブカンシリーズ同士もほぼ連携しているため、同一のサービスで一気に業務を効率化したい方におすすめです。

フリーウェイ経理Lite

フリーウェイ経理Lite

フリーウェイ経理Liteは、Windowsのパソコンであれば永久無料で使える会計ソフトです。インストールやバージョンアップにも費用がかかりません。

無料ながら以下の幅広い機能を持っているため、大幅なコストカットが期待できます。

▼フリーウェイ経理Liteの搭載機能例

  • 仕訳日記帳
  • 総勘定元帳
  • 補助元帳
  • 伝票印刷
  • 消費税試算表
  • 企業分析レーダーチャート
  • 損益分岐点図表

法律改正や機能追加なども無料で対応しているため、インボイス導入や電子帳簿保存など複雑な改訂にも安心して追いつけます。

詳しいマニュアルや解説動画もあるため、初めての導入でも安心です。有料版であれば電話やメールなどでさらに手厚いサポートを受けられます。

引用:フリーウェイ経理Lite公式サイト

「フリーウェイ給与計算」「フリーウェイ販売管理」などのシリーズ製品も無料で利用できます。幅広い業務を大幅にコストカットしたい方は、ぜひフリーウェイシリーズの導入を検討しましょう。

【充実プランならコレ!】おすすめの会計ソフト2選

次に「プラン内容を重視したい」という方におすすめの会計ソフトを2つご紹介します。

こちらも文中の価格については、特に表記がなければ「税込表示」です。

TOKIUM
  • 経費精算・請求書支払い業務から紙を一掃できる
  • 仕訳や承認フローもオンラインで完結できる
  • あらゆる会計ソフトと連携できる
  • 安心のセキュリティ体制が敷かれている
  • 電子帳簿保存法、インボイス制度に対応している
freee会計
  • 初期費用0円で導入できる 
  • 他の会計ソフトから簡単に移行できる
  • 「freeeアドバイザー」と呼ばれる会計事務所が全国に7,900以上あり、freee会計に強い税理士へ相談できる

TOKIUM

TOKIUM

TOKIUMは、経理業務で時間を費やしがちな「経費精算」「インボイス」「電子帳簿保存」に対応した会計ソフトです。

引用:TOKIUM公式サイト

インボイス登録番号の照会や電子帳簿保存法に沿った書類管理などは、経理業務の中でも手間がかかります。TOKIUMであれば、登録番号の照会や電子帳簿保存の要件などを自動で満たしてくれます。手間のかかる法令対応を自動で行ってくれるのは魅力的です。

アプリでの申請・承認はもちろん、領収書保管代行や外部サービス(クレジットカードやICカードなど)との連携も行っているため、関連業務を大幅に削減できます。また、他社の会計ソフトとも連携できるため、「現在は別の製品をメインで使っている」という場合も安心です。

freee会計

freee会計

freee会計は、クラウド会計ソフト市場でシェアNo,1を誇る製品です。請求書作成や帳簿付け、レポート作成など経理業務を一通り網羅しているため、幅広い企業で利用できます。初期費用は0円です。

freee会計を利用すると「freee認定アドバイザー」にソフトの使い方を質問できます。

引用:freee公式サイト

認定アドバイザーの登録会計事務所は全国に7,900以上設置されており、freee会計の使い方を熟知しているため、わからない点があっても安心です。初めて経理を行う方にとっては魅力的なサポート制度でしょう。なお、他の会計ソフトからの移行も簡単に実行できるので、別の会計ソフトから乗り換えたい方にもおすすめです。

まとめ|多くの会計ソフトを比較して最適な選択をしよう

会計ソフトには多くの製品が存在します。製品の良さを最大限引き出すには、自社の目的に合わせてマッチする会計ソフトを選ぶことが大切です。

無料のお試し期間を設けているソフトも多いため、一度導入してみて「実際の使いやすさ・コスト・機能・プランの多さ・カスタマーサポートの有無・セキュリティの高さ」などを比較して、自社のニーズに沿った製品を選びましょう。

なお、本サイトでご紹介している一部の会計ソフトは、アフィリエイト広告の出稿を受けています。

よくある質問

Q1.会計ソフトを比較する際のポイントは?
会計ソフトは以下のポイントを意識して比較しましょう。

・無料プランか有料プランか
・クラウド型かインストール型か
・個人事業主向けか法人企業向けか
・簿記の知識がなくても操作は簡単か
・金融機関やアプリとの連携は十分か
・所有の端末やOSには対応しているか
・無料のお試し期間があるかどうか

詳しくは「自社に最適な会計ソフトはどれ?比較の視点を解説」の章をご覧ください。
Q2.おすすめの会計ソフトは?
おすすめの会計ソフトは、導入の目的に応じて異なります。

例えば「安さを重視したい」という目的であれば、Windowsのパソコンなら永久無料で使えるフリーウェイ経理Liteがおすすめです。「プランが充実しているソフトを使いたい」ということであれば、freee会計がよいでしょう。

おすすめの会計ソフトについては「【安さ重視ならコレ!】おすすめの会計ソフト4選」「【充実プランならコレ!】おすすめの会計ソフト2選」の章で詳しく解説しています。