会計ソフトは、経理業務の効率化に必要不可欠なツールの一つです。仕訳を入力するだけで、自動で帳票やレポートを作成できたり、金融機関やクレジットカードの情報と連携させれば明細を自動で転記できたりと、業務の負担や作業時間を減らすことができます。
とはいえ、会計ソフトは多数のメーカーからサービス提供されています。また、製品ごとに強みとする機能や想定する企業規模・業種などが異なるため、初めて導入を検討したい方にとっては、「どれを選ぶべきかわからない」という方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、会計ソフトの売れ筋に着目し、おすすめの5製品を紹介します。また、会計ソフト導入で失敗しないための、導入前に確認すべきポイントについても解説しています。
会計ソフトの導入で解決できる3つの課題
会計ソフトを導入すれば、経理業務の大幅な業務効率化が叶います。とはいえ、まだ会計ソフトに触れたことがない場合、具体的にどのような課題が解決されるのか、よくわからないと考える方もいることでしょう。
本章では、現在エクセルを用いて経理業務を行っている方に向けて、会計ソフト導入で解決できる3つの課題について解説します。自社の課題感と重なる場合には、特に導入を検討することをおすすめします。
課題1.データの所在や扱い方がわからない
経理業務でよくある課題の一つが、データの所在や扱い方がわからないことです。部署や拠点ごとに異なる方法で情報を管理していると、必要な情報がどこにあるのか探すのにも一苦労ですし、部署間でデータを共有したい、組織全体の予算状況を把握したい、といった際の情報共有も手間がかかります。
もしエクセルで管理している場合、組んである数式が崩れると修正対応にも時間がかかります。対処が必要なタイミングで、エクセルを使いこなせる人材がいない場合、最悪業務が停止してしまうおそれもあります。また、データをダウンロード・上書きなど繰り返していると、どれが最新のデータなのか、わからなくなってしまうことも多々あるでしょう。
会計ソフトは、経理業務に関するデータがすべて1箇所にまとめられています。そのため、必要なデータを必要なタイミングで呼び出すことができ、情報共有も容易です。エクセルと違い複数人で同時にデータを開くこともできるので、困ったときには同じ画面を見ながら対応できる点も、会計ソフトの魅力の一つです。
課題2.専門知識がある経理担当者に負担が偏っている
紙やエクセルで管理している場合、仕訳や帳票ごとに数値を入力しなければならず、作業にかかる手間が膨大になりがちです。業務の性質上ミスが許されないものの、ヒューマンエラーが起きてしまうこともあるため、担当者の心理的負担も大きいと想定されます。
また、経理担当者には専門知識も求められます。経理に関する法改正は高頻度で行われており、2023年10月にはインボイス制度への対応も必須となります。法令遵守のためにも、経理担当者は最新の情報に常にアンテナを張っておかなければなりません。さらに、紙やエクセルで管理している場合、手動でフォーマットの修正や更新を行う必要があります。これらは簿記や税務の専門知識を有していないと対処できません。
会計ソフトを導入すれば、仕訳を入力するだけで自動で帳票に転記されるため、作業負担とヒューマンエラーの双方を減らすことが可能です。決算や月末などのタイミングで時間に追われることも少なくなるのではないでしょうか。
さらに、最近は経理に関する知識が少なくても、指示通りに入力するだけで簡単に帳票を作成できる会計ソフトもリリースされています。また、ソフトをアップデートするだけで法改正にも瞬時に対応できるため、経理に関する知識の有無に縛られなくなり、属人化からの脱却も期待できるでしょう。
課題3.自社の経営状況を把握しきれていない
経理部門は、日々の売上や予算など企業全体のお金の流れを管理・記録しています。蓄積したデータは経営判断の一助にもなるため、いつでも見える化できるようにしたいものです。
会計ソフトは、各種データを組み合わせてレポートを作成できる機能を有しているものもあります。さらに、蓄積したデータをもとに、AIが将来予測を行ってくれる会計ソフトも登場しています。これらの機能を活用することで、従来の管理・記録にとどまらず、戦略的に経営に関わる経理部門になることができるでしょう。
【インストール型】売れ筋の会計ソフト5選
会計ソフトには、『クラウド型』と『インストール型』の2種類のタイプがあります。
メリット | デメリット | |
クラウド型 | インターネットに接続していれば、すぐに導入できる | 有料の場合買い切りではなく月々の料金がかかることが多い |
インストール型 | 自社システムに合わせて柔軟にカスタマイズできる | 自社PCのOSに対応していないと使えないことや、アップデートを手動で行う必要がある |
利用シーンや自社の状況によってどちらが適しているかは変わってきますが、なかでもインストール型は、多くのシェアを誇っています。MM総研が実施した調査によると、中小企業等における会計業務の方法として、半数以上が「会計ソフトを利用」と回答しています。さらに利用者のうち、およそ8割がインストール型を導入しているのです。
参考:MM総研「クラウド会計ソフトの法人導入実態調査」をもとに作成
そこで今回は、シェアの多いインストール型の会計ソフトに絞って、売れ筋の5製品を紹介します。
弥生会計23
【弥生会計23】
弥生会計23は、使い方をサポートする動画やFAQなど、スタートアップガイドが充実しているため安心して導入できます。ソフト導入時に負担となる初期設定も、事業所名や決算期など対話形式の質問に回答していくだけで簡単に設定できます。
また、3種類のプランがあるので、無駄なく自社に合うプランを選ぶことができます。
セルフプラン | ベーシックプラン | トータルプラン | |
操作サポートを省き、プログラムアップデートに絞ったリーズナブルなプラン | 操作質問から業務相談まで、標準のサービスが利用できる一番選ばれているプラン | パソコントラブル対応や、他社ソフトの操作質問など、すべてのサポートとサービスが利用できる充実プラン | |
スタンダード | 30,600円 | 40,500円 | 53,900円 |
プロフェッショナル | 41,500円 | 54,200円 | 75,000円 |
※すべて税抜価格(2022年10月現在)
会計王
料金 | 希望小売価格44,000円(税込) |
サポート体制 | 【バリューサポート】 年間保守契約 電話/メール/チャット/FAX (年間33,000円(税込)) 【スポットサポート】 製品サポートで(電話のみ)3回まで操作方法を質問できる(5,500円(税込)) |
無料体験 | あり |
会計王は、業種別の科目があらかじめ設定されているため、業種を選ぶだけで自動で初期設定ができます。対応業種がなくとも一問一答で設定をすすめるだけで、簡単に完了する「らくらくエスコート」機能が搭載されています。
また、専用クラウドサービス「安心データバンク」を活用すれば、クラウド上に最新データのバックアップができます。もしPC にトラブルが起こった場合もすぐにデータを戻すことができるため、安心です。インストール型とクラウド型の長所を掛け合わせて作られたソフトといえます。
会計らくだ23
料金 | 13,200円(税込) |
サポート体制 | 「無償保守サービス」または有償の「年間保守サービス」を契約することで以下サポートを得られる ・操作サポート ・法改正対応 ・アップデート対応 ・バージョンアップ ・紛失時メディア提供 ・更新割引 ・上位製品優待販売 ・画面共有リクエスト ・パスワード復旧 |
”記帳は自社で、残りは税理士で”、というテーマで作られたソフトです。必要最低限の機能のみに絞り、複雑な機能はカットされているため、簿記に関する知識がなくても簡単に使えるでしょう。インストール型のなかでも控えめな価格設定となっています。
また、OneDriveやDropboxなどの外部クラウドストレージを利用したバックアップにも対応しているため、万一のPC破損や紛失によるデータ消失も防ぐことができます。
ジョブカン Desktop 会計 23
パッケージ版 | ダウンロード版 | |
価格・ライセンス | 30,800円(税込)1ライセンス | 16,500円(税込)1ライセンス |
利用期間 | 制限なし | 12ヶ月間 |
サポート | 電話・Web ※基本使用サービス有効期間のみ | Web |
金融機関連携 | 基本使用サービス有効期間のみ | 〇 |
基本使用サービス更新料 | 継続・再開によって異なる | なし |
ジョブカン会計は、操作性に優れたソフトです。ジョブカンシリーズとしてクラウド型の製品も扱っていることから、本製品はインストール型でありながらもクラウド型ならではの扱いやすさも実現されています。
また、基本的にチャットでのサポート機能はついていますが、プランによっては電話サポートを受けられるので困った際も安心です。
わくわく財務会計8
希望小売価格 | 24,200円(税込) |
エコパッケージ(特別価格) | 19,800円(税込) |
ダウンロード販売(特別価格) | 18,700円(税込) |
わくわく財務会計は、中小・零細企業向けの会計ソフトです。
入力支援機能や消費税に関する資料の自動作成などの機能が充実しているため、「経理担当者が少なくて業務に不安がある」「なるべく手間をかけず業務を進めたい」といった課題感のある方におすすめです。
さらに、30日間の無料体験版があるため、一度試してから検討したい方も安心です。さらに製品版への移行時には、無料版データをそのまま移行できるため、負担も少なく使用できるでしょう。
導入前に確認!会計ソフトで失敗しないための3つのコツ
今回は5つのインストール型会計ソフトを紹介しましたが、実際にはこれ以上の会計ソフトが存在します。初めての導入となると、どれを選べばよいか迷う方も多いのではないでしょうか。闇雲に導入するだけでは、思うような業務改善が見られなかったり、以前よりも工数が増えてしまうといった失敗も起こりかねません。
本章では、初めての会計ソフト導入で失敗しないために、導入前に確認しておくべき3つのポイントを解説します。
1.導入の目的をはっきりさせる
会計ソフトの導入は、課題解決のための一手段です。どのような課題を解決したいのか、導入によって何を実現したいのか、目的を明確にしたうえで、必要な機能や価格などの各要素を検討するようにしましょう。
また、会計ソフトを扱うのは現場の経理担当者です。経営層の判断だけで選定しないよう、関係者間での認識を揃えたうえで、目的設定を行うことが大切です。
2.業務フローを洗い出す
新たなツールを導入すると、業務フローが大幅に変わることも想定されます。例えば、紙ベースで管理していた時には決裁に2日要したものが、会計ソフトの使用では半日で済む、といったこともあるでしょう。
また、会計ソフトによっては対応している帳票や入力規則が異なる場合もあります。また、これまで部署ごとに異なる方法で管理を行っていた場合には、管理方法を統一するなど、場合によってはカスタマイズの必要もあるかもしれません。
そのため、会計ソフト導入前には、従来の業務フローを全て洗い出すことが重要です。最初に全体の大まかなフローを洗い出したあと、細かな手順やルールも確認しましょう。そうすれば、必然的に優先順位の高い機能が見えてきて、結果的に会計ソフト選定の一視点を得ることもできるでしょう。
3.必要なデータを整理する
これまで紙やエクセルでデータを管理していた場合、導入時には会計ソフトにデータを移行する必要があります。導入時に一番時間のかかるステップでもあるため、移行したいデータはあらかじめ整理しておくと、スムーズに運用を始められるでしょう。
まとめ|会計ソフトの導入は、業務効率化につながる
会計ソフトを導入すると、経営状況を多面的に把握できたり、業務の属人化を解消できたりと、経理部門が抱える多くの課題を解決することができます。
会計ソフトにはクラウド型とインストール型がありますが、シェアが多いのはインストール型です。本記事ではインストール型の会計ソフトを5製品紹介しました。ぜひ本記事を参考に、自社課題を解決できる会計ソフトを選んでみてください。
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よくある質問
Q1.会計ソフトを導入すればどんな課題を解決できる? |
会計ソフトを導入することにより、以下3つの課題を解決できるでしょう。 1.データの所在や扱い方がわからない 2.専門知識がある経理担当者に負担が偏っている 3.自社の経営状況を把握しきれていない |
Q2.会計ソフトの導入時に失敗しないためには? |
会計ソフトを導入する前に、以下3点を確認しておきましょう。 ・導入の目的をはっきりさせる ・業務フローを洗い出す ・必要なデータを整理する |